<最近の事件から>
DVの被害者は、自分の生命を最終的には自分で守るしかありません。しかし、自分だけではどうにもならない事もあります。そのような時は一刻も早く当事務所にご相談ください。
法律が全てを守ってくれるわけではありません。生命を守るためにあらゆる方法を考えます。
令和4年8月26日の事件になりますが、大阪府堺市で恋愛のもつれから女性が殺害されるという事件がありました。
あまりに凄惨な事件で、ずっと色んな記事を追いかけて調べていました。
被害女性は当時20歳。加害者は23歳でどちらも大学生。令和2年10月頃から交際を始め、一時は被害者宅で同棲していましたが、事件の4日前に交際を解消しています。原因は、加害者が被害者の交友関係を巡ってトラブルになっていたようです。この時点で、加害者がDV体質であったと推察されます。また、加害者には浮気癖、借金癖、ギャンブル癖があり、酒癖が悪く被害者が暴力を振るわれていたとの知人らの話があります。ただ、被害者は加害者の支配下に置かれており、DV被害者である自覚はあってもなかなか別れを切り出せなかったようです。
加害者は、事件当日、加害者の私物を採りに行くという理由で被害者宅に上がり込んでいました。加害者は、交際解消後もLINEで被害者に復縁を求めていたようで、被害者はそれを拒んでいたとの事です。
その後、どういう経緯があったかは定かではありませんが、被害者宅に上がり込んだ加害者は、被害者が逃げられないように被害者の両足を10箇所以上切りつけ、腹部を1箇所刺しています。この時点で被害者は殺されてしまうと思ったのでしょう。マンションの4階から飛び降りています。その時、肋骨や骨盤を骨折しており、通行人に助けを求めたとの事ですが、マンションから駆け下りてきた加害者が「やめて」と懇願するの被害者の言葉を無視し、包丁でメッタ刺しにして殺害しました。胸から背中に達するほどの傷もあったとの事です。
犯行後、加害者は自ら被害者を殺害した事を認め「ホンマに好きやった」とわめき泣き叫んだとの事ですが、裁判が始まると法廷では発言が一変し「憶えていない」の一点張りでした。
今後、裁判がどのように進んでいくのかを見ていきたいと思いますが、交際に関して一言。
交際当初はお互い仲が良かったから同棲もしたのでしょうが、自分の思い通りにならないと殺してでも自分のものにするという人間が存在します。相手が死んでしまえば自分から離れていく事も、誰かに奪われる事もない、という考えです。ストーカーの考えにも重なります。
この事件の被害者はDV被害を受けていましたが、まさか元恋人である加害者が自分を殺害しようと考える人間だとは全く思っていなかったでしょう。
殺されるとの恐怖からマンションの4階から飛び降り、通行人に助けを求め、加害者に助けを乞うたにも関わらず包丁でメッタ刺しにされた被害者の恐怖と無念は想像できません。
しかし、この裁判の検察側の求刑は有期刑上限の懲役20年。弁護側は加害者の心神喪失を理由に無罪主張。判決は求刑通りの懲役20年でした。
ただ、求刑通りの判決が言い渡されたとはいえ、元の求刑懲役20年はあまりにも軽すぎます。加害者は満期で出所しても40代半ばです。そういう人間がまた社会に戻ってくるのです。
自分の身は自分で守るしかないですが、何かおかしいと感じた時点で周囲に状況を知らせ、逃げられる場所を確保する必要があるでしょう。被害者は、別れた元恋人の加害者を家に入れているのですから、まさか加害者が自分の生命を奪いに来たとは夢にも思っていなかったでしょう。
ちなみに、加害者は判決を不服として控訴しています。
今後もこの裁判を見ていきたいと思います。 |